平成27年に相続税の基礎控除が引き下げられてから相続税に対する世間の関心が強くなりました。

書籍やセミナーなどで情報を目にする機会は増えていると思いますが、相続税に対して勘違いしているケースもあります。

今回はそんなよくある勘違いについて解説します。

遺言書通りに分割しなければならない

相続が発生した場合、遺言書の有無は遺産分割において重要な意味があります。

遺言書があった場合、遺産分割は必ず遺言書通りに行わなければならないでしょうか?

答えは「遺言書に従わなくてもよい」です。

ただし、相続人全員の合意が必要です。相続人全員の合意が受けられたうえで遺産分割協議を行えば遺言書と異なる分割を行えます。

(注)遺言書において遺言と異なる遺産分割を禁止している場合や遺言執行者が選任されている場合はこの限りでありません。

法定相続分で分割しなければならない

二つ目の勘違いは法定相続分で分割しなければならないです。

遺産分割は必ずしも法定相続分で分割しなくても大丈夫です。
相続人全員の同意を得て遺産分割協議を行えばどのような割合で分割することも認められています。

ただし、相続人のうち被相続人の配偶者、子どもや孫などの直系卑属、両親などの直系尊属については遺留分といって一定の財産を取得できる権利があります。

遺留分を侵害しての分割は後々問題になることが多いので注意が必要です。

なお、遺留分については被相続人の兄弟姉妹については認められていません。

生命保険金は非課税

死亡退職金と生命保険は非課税ということは聞いたことがあるかもしれません。

ただし、受取人が相続人であること、そして非課税限度額があるということがポイントです。

生命保険金の受取人について
生命保険金は遺産分割協議の対象外なので被相続人の生前に受取人を確実に選ぶことができます。もちろん相続人以外の方を受取人にすることもできます。ただし相続人でないため非課税の適用はありません。
非課税の適用を受けることができるのは相続人のみです。

非課税限度額について
生命保険金の非課税限度額は500万円×法定相続人の数となっています。

この非課税限度額は相続人ごとに与えられているものではなく、
すべての相続人が取得した生命保険金の合計額に対して非課税限度額が与えられています。

もちろん、非課税限度額を超える部分については相続税が課せられます。

まとめ

今回は相続税についてよくある勘違いについてでした。

特に遺言書が絶対であるという勘違いは非常に多いです。
遺言通りに分割することが相続人全員にとって不都合な場合もあり得ます。
必ずしも従わなくてもよいです。

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◆編集後記◆
中山七里の「護られなかった者たちへ」を読了。
映画化されるだけありますね。
面白かったです。

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