経営者の方やフリーランスの方で、会計ソフトを何にすればいいのかというお悩みを持っている方はいないでしょうか?
ここ数年でクラウド会計という言葉が浸透してきていますが、実際にどんな特徴があるのかよくわからないという方も少なくないかもしれません。
クラウド会計ソフトとは従来の会計ソフトはパソコンへのインストールが必要でしたが、クラウド会計ソフトはインストールの必要が無くWEB上で利用できる会計ソフトのことを指します。
今回はクラウド会計のメリットとデメリット、そしてクラウド会計に対してよくある誤解について解説します。この記事を読んで会計ソフト選びの助けになれば幸いです。
クラウド会計のメリット
データ連携
データ連携とはインターネットバンキングやクレジットカードのデータを取得し会計データを作成する機能のことです。「AIが自動で仕訳を作成」などという謳い文句もありますが、データ連携のことを指しています。
インターネットバンキングやクレジットカードだけでなく他のサービスと連携できるものもあります。
マネーフォワードを例に挙げますと、d払いや楽天Edyのような電子マネー、さとふるやふるさとチョイスのようなふるさと納税サイト、アスクルやアマゾンなどの通販サイトやランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトとも対応しています。
Airレジやスマレジなどのレジシステムと連携をさせれば売上についても自動で作成できるので非常に便利です。
データ連携をすると手入力の手間を減らすことができます。金額の入力間違いなども起きにくいので連携できる口座やサービスがあれば積極的に利用していきたいものです。
最新のソフトを使える
クラウド会計は常に最新のソフトを使用することができます。
会計ソフトは税制改正により仕様を変更しなければならないことがあります。買い切りのソフトであれば改正の都度、買い直さなければいけません。
消費税の軽減税率が導入された際に対応する会計ソフトを買い直したという方はいるのではないでしょうか?クラウド会計であればそのような場合でもソフトを買い直す必要はありません。
令和5年10月からインボイス制度が導入されますが、クラウド会計ではインボイス制度に対応できるようにアップデートされるはずです。
どの端末からでも作業ができる
クラウド会計はソフトをインストールするわけではないので、特定の端末でしか作業できないという状況にはなりません。どの端末からでも作業できますしMacやWindows,chromebookなど使用するOSを問いません。社内に会計データを利用する人が複数いる場合であっても困りません。
外出先でちょっと数字を確認したいときなんかはスマホでも確認できるのが便利です。
またデータがオンライン上で管理されているためデータの紛失の心配やバックアップを取る必要が無いこともクラウド会計の特徴です。
顧問税理士がいる場合は従来のインストール型の会計ソフトではデータのやり取りが必要でしたがクラウド会計では、そのやり取りが不要です。会計データだけでなく領収書や請求書などの画像データを取り込むことができるソフトもあります。顧問税理士とのコミュニケーションもスムーズになることでしょう。
サポート体制が充実している
クラウド会計はメールやチャット、電話などでユーザーサポートをしてくれる場合が多いです。サポート担当とユーザーが画面を共有しながらやり取りをすることもできるため問題がスムーズに解決することもあります。
クラウド会計のデメリット
月額利用料がかかる
買い切りのインストール型のソフトと違い月額利用料がかかります。月契約または年契約の場合が多いです。
買い切りのインストール型であれば導入時にのみ料金がかかり、長期間使える場合はインストール型の方が割安といえるでしょう。
ただしクラウド会計ソフトは税制改正があっても買い直さなくてもよいというメリットもあります。インボイスの導入が間近に控えている状況ではクラウド会計ソフトの方が安心といえるかもしれません。
手入力は遅い
現金の支払いなどはデータ連携ができないので、手入力をしなければなりません。その場合はインストール型の会計ソフトに比べ入力速度が遅いです。
なぜならクラウド会計は仕訳を入力するごとにインターネットに接続するため処理に時間がかかります。いままで手入力で素早く入力をしていた人であれば動作の遅さは気になるところでしょう。
もし、手入力をしなければならない状況があるのであればexcelなどに入力してCSVで取り込むことをおススメします。
業種によっては合わない
クラウド会計の最大のメリットはデータ連携です。しかし連携できるデータが少ない業種はクラウド会計に合わない場合があります。
連携できるデータが少ない場合は手入力で会計帳簿を作成しなければならず、インストール型の会計ソフトで入力したほうが作業スピードが速いこともあります。
カスタマイズができる範囲が少ない
買い切りのインストール型の会計ソフトに比べ、ユーザーが設定できる範囲が少ない印象があります。
特にキャッシュフロー計算書や変動損益計算書など税務申告に必要のない資料については細かいカスタマイズができないものが多く感じます。
トラブルでインターネットに接続できない場合は使えない
万が一インターネットにつなげないような状況になってしまうと会計帳簿の作成はもちろんですが、残高の確認すらできなくなってしまいます。
クラウド会計に対する誤解
税理士がいらない
クラウド会計を利用したからといって税理士が不要になるとは言い切れません。
会計入力ができることと費用収益が適正であり、税務上の問題が無いというのは別の話です。毎年同じような取引しかなく、かつ事業規模が小さい個人事業主の場合はご自身で申告までできるかもしれません。
それなりの取引規模がある個人事業主や法人の場合はクラウド会計を利用していたとしても税理士に業務を依頼することをおススメします。
簿記の知識が不要
データ連携をするだけなら簿記の知識はいらないかもしれません。しかし、信頼性の高い決算書を作成するには簿記も知識も必要になります。
事業者や経営者であれば簿記検定3級程度の知識で十分ですので、簿記の勉強をしてみてはいかがでしょうか?1か月程度での期間があれば学習できますし、テキストも普通の書店で販売しているようなもので大丈夫です。
簿記検定3級を勧める理由はコチラの記事に記載しております。よろしければご覧になって下さい。
リアルタイムで経営を把握
クラウド会計のメリットはリアルタイムで経営を把握できる点にあるという話は目にすることがあります。
しかし、これにはクラウド会計を導入し会計帳簿の作成を素早く完了させるという前提条件があります。クラウド会計を導入し、データ連携ができたからといって会計帳簿の作成が完了するわけではありません。
そもそも、データ連携をしたからといって完全な精度で仕訳を作成するわけではありません。イレギュラーなものには対応しませんし、連携するものも取引先の相手が誰であるかと金額の動きしか反映しない場合もあります。個々の取引の内容については人間が確認しなければわからない部分も多くあります。
「クラウド会計=AIが自動で会計帳簿を作成してくれてあとは申告だけ」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、この記事の執筆時点ではまだまだ人間がやらなければならないことは多く残されています。
クラウド会計を導入すべき会社
次のいずれかに該当する会社はクラウド会計を導入すると業務効率化が図れる可能性があります。該当する項目が多い場合は導入を検討してみてはいかがでしょうか?
- インターネットバンキングやクレジットカードの利用が多い
- 電子マネーでの支払いが多い
- アマゾン、アスクル、モノタロウなど通販の利用が多い
- アマゾンに出品しており売上を得ている
- Airレジ、スマレジなどのシステムを利用している
- 楽天ペイを利用している店舗
- ランサーズ、クラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトを利用している
- 会計データを利用する人が社内に複数いる(経理担当と経営者など)
- 請求書の作成や給与計算も会計ソフトと同じメーカーの物を使う場合
- 少ない金額で会計帳簿の作成を始めたい(インストール型の会計ソフトは高価なものが多い)
- 新しいものを取り入れることに抵抗が無い
まとめ
クラウド会計はメリットが非常に多いです。一番のポイントはデータ連携にあります。ネットバンキングはもちろんですが、連携できるサービスも増えています。そのようなサービスを利用されている場合はクラウド会計の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
◆編集後記◆
サッカーワールドカップでサウジアラビアがアルゼンチンに勝ちましたね。スタジアムの熱狂の度合いがすごくて驚きました。アルゼンチンはこのあとどうやって立て直すのか楽しみですね。