上場株式や投資信託などの金融資産を多く保有されているかたの相続対策について解説します。
結論から申し上げますと、分割対策と納税資金対策に問題は起きにくく、相続税対策に問題が生じやすいです。
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
分割対策
相続の分割問題が生じる理由は大きく2つに分けられます。
土地や建物のように物理的に分割が困難な場合(共有という方法もありますが管理方法や売却時に問題になる場合があるのでおススメではありません)
取得する人によって財産価値が変わるものである場合(例えば非上場会社のオーナー社長が亡くなった際、後継者にとって株式はすごく価値がありますがそれ以外の人にとっては価値が少ないです)
上場株式や投資信託のような金融資産は分割が円単位までできるうえ、誰が取得しても財産価値は等しいです。
そのため分割対策では問題が生じにくいです。
納税資金対策
相続税は原則的に現金一括納付です。
そのため相続財産のうちに現預金があるか、相続人に資金がなければいけません。
金融資産家に相続が発生し、相続人に資金がない場合であっても、上場株式や投資信託は取引市場があるため売却し換金することが容易です。また取引金額が公表されているという点も特徴です。
土地や建物などは売り手が見つからずすぐに売却できない場合や、売却金額を決めるのが難しい場合があることに比べ金融資産は資金化することが容易であり、納税資金対策において問題が起きにくいという特徴があります。
相続税対策
金融資産は相続税対策をとりにくいです。
なぜなら時価=相続税評価額となるからです。
金融資産の相続税評価額を下げることは難しいです。
一方、土地や建物は一般的に時価より相続税評価額のほうが低くなる傾向にあります。
さらに、貸している物件については賃借割合を控除した金額で評価を行います。
土地については小規模宅地等の特例という制度により
一定の要件を満たせば最大80%評価減をすることができます。
相続税対策がとれないなら何をする?
金融資産の相続税評価額を下げるのが難しいのは先ほど説明したとおりです。
ではどういった対策をとればよいでしょうか?
資産の組換えを行う
資産の組み対策替えとは金融資産を売却し他の資産を購入することです。
土地や建物などの賃貸不動産に組換えれば相続税評価が下がる場合が多く相続税対策になります。
ただし分割対策、納税資金対策については改めて検討が必要です。
また、賃貸不動産の経営収支や管理コストも考慮に入れる必要があります。
所得税の節税策に使う
これは含み損のある金融資産を相続した場合に限ります。
相続により取得した金融資産の取得価額は被相続人が取得した際の価額を引き継ぎます。
そのため時価300万円の上場株式を売却したとしても、被相続人が取得価額が500万円なら損失が200万円なので所得税はかかりません。
この200万円の損失を所得税の節税に使います。
この200万円の損失は他の上場株式を売却した際の利益と相殺できます。
どちらの対策でも相続時だけで考えるのではなく、将来に視点をずらして考える必要があります。
まとめ
金融資産は相続税対策について選択肢が少ないです。
そのため、相続後の手間や収支まで考えて
①そのまま保有する
②資産の組換えを行う
③売却する
いずれかを検討しなければいけません。
◆編集後記◆
井岡の試合での内山高志さんの解説について物議をかもしているみたいですね。
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