あまり知られていないことですが法人税は課税所得800万円を超えると税率が上がります。

そのため、課税所得800万円を超えるかどうかを考慮しないと、せっかくの節税策が無駄になる場合があります。

どういった場合に節税策が無駄になるのか。どうすれば節税策の効果が発揮されるのか解説します。

法人税の税率は2段階

資本金一億円以下の中小企業の法人税は所得金額に応じて2段階になっています。

  • 800万円以下の部分・・・15%
  • 800万円超の部分・・・23.20%

そのため課税所得が1,000万円の場合の法人税は以下の通りになります。

800万円×15%+200万円×23.20%=166万4千円

ポイントは800万円を超える部分だけが高い税率が適用されるという点です。

節税策の多くが課税の繰延

節税策が無駄になるという話の前に、そもそも節税策とは何でしょうか?

節税策の多くは課税の繰延です。

代表的なものに倒産防止共済があります。詳しくはコチラ

課税の繰延を倒産防止共済の例で説明しますと、掛金を支払った際に経費計上、解約金が入金された際に収益にします。

掛金の支払い時点では利益が圧縮され税負担が減ります。そのため節税になるといえます。
ただし入金時には収益が生じるため、税負担が増えます。

あくまでも掛金を支払った際の税負担を解約金入金時まで繰延べたにすぎません。

これが課税の繰延です。

節税策が無駄になり負担増になるケース

それでは節税策が無駄になるケースとはどのようなものでしょうか?

倒産防止共済を例に挙げると、課税所得800万円を超えていない事業年度に掛金を支払い、かつ課税所得800万円超の事業年度に返戻金を受け取る場合です。

それでは具体例を見てみましょう。

節税策なし

課税所得税額
1年目600万円90万円
2年目1,000万円166.4万円
合計1,600万円254.4万円


節税策あり
掛金を100万円支払い、返戻金を100万円取得した場合

課税所得税額
掛金支払時600万円ー100万円75万円
返戻金取得時1,000万円+100万円189.6万円
合計1,600万円264.6万円

ふたつを比較すると、節税策ありのほうが法人税負担が10.2万円増えます。
結果的に節税策が無駄になり、資金流出が増えています。

節税策が効果を発揮するケース

先ほどと同じく倒産防止共済を例に挙げ、節税策の効果が発揮されるケースをご紹介します。

課税所得800万円を超える事業年度に掛金を支払い、かつ課税所得800万円を超えない事業年度に返戻金を受け取る場合です。

節税策なし

課税所得税額
1年目600万円90万円
2年目1,000万円166.4万円
合計1,600万円254.4万円


節税策あり
掛金を100万円支払い、返戻金を100万円取得した場合

課税所得税額
1年目1,000万円-100万円143.2万円
2年目600万円+100万円105万円
合計1,600万円248.2万円

ふたつを比較すると、節税策ありのほうが法人税負担が6.2万円減ります。
節税策の効果があるといえます。

まとめ

今回は節税策をした結果、税負担が増える場合について解説しました。

重要なことは2つ。

・課税所得800万円超で税率が上がる
・節税策は入口と出口が大事


節税は無理なく計画的に行いましょう。

◆編集後記◆
6月7日の井上尚弥の試合は予想外の決着でした。
ドネアも調子がよかったのにあんな結末なんて。
井上尚弥はどこまで行けるのか?
そしていつキャリアのピークを迎えるのか。
これからも目が離せません。

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