社員食堂や弁当を提供することにより従業員に食事を支給するという会社はあると思います。

こういった場合に、従業員から徴収する金額によっては給与として課税されるケースがあります。

広く知られていることではありませんが、食事代を補助する金額については非課税限度額が税務上定められています。

今回は食事を支給する場合、どうすれば課税されないのかを解説します。

食事代が給与課税されない要件

給与として課税されないためには次の2つの要件を両方とも満たしていないといけません。

給与課税されない要件

  • 従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
  • 食事代から従業員が負担額を控除した金額が1月あたり税抜3,500円以下であること

食事代とは、社員食堂の場合は材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額、弁当を支給している場合は業者に支払う金額です。

要件はすこし厳しいものとなっています。
1つめの要件があるために従業員へ無償で食事を提供するということは認められません。
2つめの要件にある通り非課税限度額が3,500円と多いとは言い難いものです。

ただし、残業又は宿日直をした者に支給する食事については上記の規定とは関係なく課税しなくて差し支えありません。(法人税基本通達36-24)

課税される場合はいくらに対して税金がかかるの?

上記の要件を満たさない場合はいくら税金がかかるのでしょうか?

具体例を用いて解説します。

支給している弁当の単価 648円(税抜600円)
従業員から徴収している金額 400円
支給回数 月20回

ひとつめの要件は648÷2>400のため満たしています。

ふたつめの要件は(600ー400)×20=4,000>3,500と満たしていません。
そのため食事の価額から従業員が負担している金額を控除した金額が給与として課税されます。

この場合は648円×20ー400円×20=4,960円が課税の対象です。

課税される理由は経済的利益だから

ところで、「従業員に食事を支給することが何で給与になるの?給料を支払ってるわけじゃないよ?」そんな疑問を持つかもしれません。

従業員が会社から無償又は通常より低い金額で受けた役務の提供は経済的利益に該当します。

そして、その経済的利益は税法上は給与として課税されます。
(経済的利益については法人税基本通達36-15に詳しく記載があります)

そのため、給与として実際に金銭を支給していなくても給与として取り扱います。
これは食事代に限った話ではなく、無償又は低い対価で財産の譲渡を受けた場合も含みます。

ただし、経済的利益であっても給与として課税されないものがあります。

例としていくつかご紹介します。
永年勤続者の記念品等(法人税基本通達36-21)
商品、製品等の値引き販売(法人税基本通達36-23)
寄宿舎の電気料金等(法人税基本通達36-25)

上記はあくまでも一例ですが、これらについては社会通念上認められるものであれば給与課税されません。

まとめ

今回は従業員の食事代について課税されない金額設定の解説でした。

課税される場合は、金額の集計が煩雑なため事務負担が増えます。
課税される、されない以上に大きなデメリットになることでしょう。

社員食堂や弁当を提供する場合は金額設定に注意しましょう。

なお、従業員の参加する忘年会や新年会などの飲食代については取り扱いが異なります。
詳しくはコチラ



◆編集後記◆
那須川天心は無敗でボクシングに転向するんですね。

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